2012年9月25日火曜日

ソハの地下水道

TOHOシネマズシャンテで『ソハの地下水道』を観てきた。

こういう映画こそ、多くの人に観てもらいたいって思うんだけど、残念ながら上映館が少なすぎる。

この映画、ポーランドの映画なんだけど、舞台は第2次世界大戦下。ドイツ人に迫害を受けるユダヤ人が地下に張り巡らされてる下水道管に逃げ込む。そこで、ポーランド人で下水管工事と点検の仕事をしてる冴えない男、ソハと遭遇。
ユダヤ人を見つけたら通報するのが当たり前、見逃したら罰せられるっていう環境で、ソハは彼らをかくまうことを選択する。

映画は全体で143分、そのほとんどが地下水道で展開される。少し長めの映画ではあるけど、ものすごく引き込まれた。地下が舞台だからもちろん全編に渡って結構画面が暗いんだけど、それでも美しいなっていう印象を受けた。
地上から注がれる雨水をまるでシャワーのように裸体に浴びる女性をみて、それが地下だとは考えられたなかった。

生きることと引き換えに光を捨てて、地下に逃げ込む彼ら。
生きることの厳しさと、戦争のつらさを感じた。
近代史ってつまらないって高校生の頃くらいまで感じてたんだけど、大学生になってから、徐々に徐々に、戦争とか、それをひっくるめた今につながる最近の出来事に強い関心を抱くようになった。
小学生の頃に修学旅行で行った原爆ドーム、当時は何とも思わなかったけど、今行くと、また違う印象を持つんだろうなぁと思ったり。
もっともっと、戦争を体験した人々に、話を聞いとけば良かったなぁと思ったり。

エンドロールに入る前、彼らが14か月もの間地下で過ごしたことが明かされる。
1年以上光が当たらない世界に生きてて、どんな気持ちだったんだろう・・・

アカデミー賞にも2部門ノミネートされたらしい。
観てみると、何かしら心に残るものがあるんじゃないかと思う。


ちなみに、映画の原作は『ソハの地下水道』っていう本なんだけど、これは当時のことを知る人々にインタビューして、当時のことを綴った本らしい。
その本を書いた著者は、さすがに地下で生活した人たちが生き残ってるはずはないって考えたらしいけど、実は、クリシャ・ヒゲル(英語だとクリスティーネ・ケレン)っていう女の子が今アメリカに渡って生活してて、『緑色のセーターの女の子』(英語)っていう当時のことを回想した本を出版してるっていうことを後に知ったそうだ。クリシャもこの映画は当時のことをリアルに再現出来てるって評価したらしい。


ところで、映画館でフレッシュネス・バーガーのバーガーを食べてる男がいた。
紙袋とかビニール袋の音がうるさくて、よっぽど文句言ってやりたかったけど、うるさいのは予告編の間だけで本編始まってからは収まったから、何とか我慢できた。
映画館で音を発するっていうのは万死に値する。

TOHOシネマズみゆき座でヒッチコック監督作品、『鳥』を観てきた。午前十時の映画祭の上映作品の1つだ。

鳥が人間を襲うっていう、言葉にしてしまえばそれだけの話ではあるんだけど、圧倒された。
どの辺が凄いかっていうと、あれだけ大量の鳥を登場させたことだ。
当時の撮影技術がいかなるものかっていうことに関しては知識がないから何とも言えないけど、あれが全部本物だとは思えない。大抵は特撮なんだろう。かと言って、あれが全部偽物っていうこともないだろう。そうすると、やっぱりすごいって思う。

主人公メラニーは、ペットショップで出会った弁護士、ブレナーの家へ向かう途中、カモメに襲われる。これが最初の事件。鳥の様子が何かおかしい。大勢の子供を大群で襲撃したり、家を大群で襲い、結果主を殺したり。
メラニーとブレアは、車で街を脱出しようとする。

脱出しようと車を発進させたところで映画は終了するから、たぶん脱出成功なんだろう。

単純な動物パニックムービーではあるけど、傑作だ。

2012年9月18日火曜日

天地明察

待ちに待った『天地明察』がようやく公開した。

原作読んだころから楽しみにしてたんだけど、映画も非常に良かった。
原作に忠実っていうわけではなかったけど、そもそもどの程度史実にのっとってるのかが分からない時点でそういうものを気にしても仕方がない。
少なからず長いかなっていう印象はあったけど、それでも退屈せずに見れた。

1つのことに長い時間を費やしながらも、だからといってそれだけに没頭するわけではない。そういう生き方をしてるのが主人公の安井算哲。素直に格好良いと思う。
囲碁のシーンも緊迫感あって良かった。初手天元打つのにあのモーションは必要なかったんじゃないかって思ったりもしたけれど。

鍵泥棒のメソッド

自殺志願の売れない俳優が銭湯へ。
ある男が大胆に石鹸ですべって頭撃ったところを目撃。その男のロッカーのカギと自分のカギをすり替えた。
そんなことをしちゃったものだから、殺し屋に間違われたりして、てんやわんやの大騒ぎ。

あんまり期待せずに観たんだけど、結構面白かった。
2、3回オチがあって楽しかった。
ただ、あまりにもハッピーエンドだから、もう少しブラックな要素を入れても良かったんじゃないかって思ったり思わなかったり・・・

2012年9月17日月曜日

コッホ先生と僕らの革命

大きなシネコンではほとんどやってないようなマイナー作品。
でも素晴らしい作品。
ドイツ版『いまを生きる』っていう評価をされてたりもするらしい。『いまを生きる』は観たことないから何とも言えないけど。

コッホっていうのはドイツサッカーの創始者の1人だ。
1,800年代後半、サッカーがまったく行われていなかったドイツで少年サッカークラブを作ることで、ドイツ全土にサッカーを広めるきっかけを作ったのがコンラート・コッホ、この映画の主人公だ。
完全な実話ではないらしくて、監督曰く、おおまかに事実にのっとった作品らしい。
今ではFIFAランキングで常にトップクラスのドイツに、サッカーを受け入れようとしない時代があったことが、驚きだ。普及し始めても禁止し続けた地域もあるらしいし。

実際は異なるらしいけど、映画でのコッホは、イギリスに留学後、ドイツの小学校に赴任して反英感情が根強いドイツで初めての英語の先生になる。
しかし、英語教育に乗り気じゃない生徒たち。彼らに対して提案したのがサッカーだ。
サッカーを通して、コッホは仲間意識やフェアプレーの大切さを生徒たちに身に付けさせようとする。

ラストシーンは感動的だった。

確かにサッカーは野蛮なスポーツだ。反英感情がなくても、広めるのってなかなか難しいんだと思う。
実際にはキーパーを避けながらゴールを決めようとするところを、キーパーの方からボールに向かっていくわけだけど、パッと見、1人で棒立ちになってるところにボールを蹴り飛ばす弱いものいじめだと受け取られても仕方がないなぁって映画を観ながら思った。

サッカー、個人的にはそこまで面白さを感じないスポーツの1つではあるけど、この映画でちょっとは見直した。

レベッカ

午前十時の映画祭作品の1つ。
ヒッチコック監督の『レベッカ』。
ヒッチコックの名前こそ知ってるものの、俺が生まれる前の人物だから、1度も観たことはなかった。映画好きとしては恥ずべきことではあるけど、どんどん新作が公開される中で、過去の作品に手を伸ばす機会はなかなかないんだよなぁ。
だから、午前十時の映画祭は結構重宝してる。映画館の大スクリーンで名作を週替わりで観れるっていうのは素晴らしいことだと思う。過去の名作を受け継ぐっていう意味でも、映画ファンを増やすっていう意味でも大成功を収めた企画だと思う。

近くの映画館ではやってないから、観ようと思えば都内に出るしかなくて、なかなか時間が取れなかったりする。ここ半年以上は午前十時の映画祭作品は観てなかった。
それで、久々に観たのがヒッチコック監督の『レベッカ』だったわけだ。

面白かった。
レベッカという前妻をなくした男がモンテカルロのホテルである女性と知り合い、その人を妻にしたところから物語は動き出す。
男が所有する大豪邸に住むことになった女。
しかし、レベッカ付きの家政婦だったデンヴァー夫人は彼女を認めず、ことあるごとにレベッカを持ち出す。
やがて彼女はレベッカの影に押しつぶされることになるのだが、海岸沖で船の転覆事故が起きてから、物語は大きな転換を迎える。

『桐島、部活やめるってよ』と同様、タイトルになってる人物がまったく出てこない作りになってる。
でも、『桐島~』と違ってレベッカについての説明をきちんとしてくれるから、そういう意味で見やすいんだと思う。
『桐島~』を観たからこそ思うことだけど、もっとレベッカを謎の人物にしても良かったんじゃないかと思う。最近ちょくちょく、説明をし過ぎな映画っていうものに敏感になったりしちゃうんだけど、この映画もそういう部分が少なからずある。

でも、面白かった。

2012年9月14日金曜日

バイオハザード5 リトリビューション

全然興味はなかった作品。
なんで観たのかも謎だ。

そして結果としては、リー・ビンビンが可愛かったというだけの作品。

一応ストーリーはあるわけだけれど、個人的にはドンパチやってる印象の方が強くてストーリーが強調されていない感じが嫌だ。もちろんゲーム自体がそういうものだから仕方ないんだけど、アンブレラっていう会社を倒すことが最終目標に設定されてる状態で、それを実行するだけなのにこんなに引っ張るのが謎でならない。会社に爆薬でも仕掛ければ終わりだと思うんだが違うのか? 自爆テロでも起こせば一発だと思うんだが。
謎だ。

夢売るふたり

松たか子、阿部サダヲ主演の映画、『夢売るふたり』。
観よう観ようっと思ってて、ようやく観に行けた。

期待してたほどではなかった気がする。
序盤、店が焼けるあたりを効果的に見せようとしてスローにしてるけど、それが非常に長ったらしく感じて嫌だった。ああ、こういうことをする監督なんだなって。
むやみやたらとお色気シーンを描こうとするのも共感できなかったし。『闇金ウシジマくん』の時も思ったけど、男女の間の性行為が間接的にしか作用しない作品で女性の胸を見せることに何か意味があるんだろうか。

あることがきっかけで、女性っていうのは共感するとお金を出すものだっていうことを悟って結婚詐欺を企てる妻。その妻の指示に従って、結婚詐欺を実行する夫。
屈折してると思った。屈折してることに気付いていながら、それを絶対に口に出そうとしないことに、更に屈折してると感じた。

説明が少なくて、色々なことを自分で想像するしかなくて、だから内容自体にどうこう言いたくない。
バカな人間が世の中多すぎるっていうことだけだ。
共感を持てたのは田中麗奈だけだった。それ以外の女には正直なところ興ざめした。
そういう映画だ。

松たか子と田中麗奈が映える映画だった。
タイプが違うけど、個人的には田中麗奈の方が好きかもしれない。