2012年8月27日月曜日

闇金ウシジマくん

山田孝之主演の映画、『闇金ウシジマくん』を観てきた。
山田孝之は割と好きな俳優だ。大島優子は嫌いだけど。

面白い映画だった。闇金業界には常々興味を持ってる。興味を持ってるだけで、もちろん接触したことはないけど。
高利にも関わらずそこでお金を借りようとする人間と、貸し倒れのリスクが高いにも関わらず高利という保険で誰にでも金を貸す業者。バランス取れてるなぁと思う。
高利にするからこそ、どこかから回収不能になっても、別の場所できちんと回収すれば元が取れる。
そのバランスは一般的な消費者金融と同じだけど、闇金の方がそのバランスが絶妙な気がするのは俺だけだろうか。

金がテーマの話ではあるけど、『ハゲタカ』みたいに「この世は金だ」みたいな話ではない。
生き方みたいなものにスポットが当てられてて、闇金業者だけど、通すべき仁義はきちんと通すウシジマや、相手が闇金だとしても、借りた金だからといってきちんと必死に返そうとする客。もちろん、そうじゃない客も描かれてる。
金を手に入れるために風俗に手を出す女もいれば、その一線は意地でも守ろうとする女もいる。それでも、精神的な部分が蝕まれてたりもする。
金によって身を滅ぼす人間。滅びそうになって、ギリギリのところで踏みとどまる人間。ラストはその対比が印象的だった。
風俗で稼ぐ金とファミレスで稼ぐ金、同じ金額でもその価値は全然違う。
なんだろうなぁ・・・
金って何なんだろうなぁって思った。
金って大切なんだ。「お金なんて・・・」とか言ってるやつは将来絶対金に困ることがありそうだし、成功も出来ない。人生におけるある程度の価値はそこにある。でも、だからと言って人生のすべてではないわけで。
金があれば信頼されるわけでもなく、お互いに信頼あってたとしても、金銭問題は別だっていうこともあって。色々特別な存在なんだよな、お金って。

ところどころ無意味なエロシーンっていうか、女性の胸を露出させる場面とかが出てきたんだけど、クレジット見てたら、AV女優の希崎ジェシカとか出てたみたい。端役まで含めたら登場人物多すぎてよく分からなかったけど。
あの手の職業も謎だよなぁ。ものすごく可愛い子がAV女優やってたりもするし。
風俗にしてもAVにしても、仕事として一定の評価はしてるつもりだけど、それでも、やっててどんな気持ちなんだろうって考えたりする。
たぶん、世の中で体を売ることはいけないことだっていう風潮があるからこそなんだけど、低俗な仕事だっていう意識が少なからず人々の頭にはあると思うんだ。
そこにあえて飛び込んでいこうとする人は、興味本位なのか、金とかのためにやむを得ずなのか、それとも、そこに非常に高い価値を見出してるからなのか。俺にはよく分からない。
たぶん、金のために体を売る女っていう位置づけの人物を映画の中に出してきたのも、製作者側が意図したことなんだろうなぁ。


原作は読んでないけど、Kindle日本版が発売されたら読んでみようかな。マンガを買う気にはなれない。

2012年8月18日土曜日

少年は残酷な弓を射る

なんだか難しい映画だった。

母親に対してだけ、敵愾心と執着心をむき出しにする息子。それは成長してからも変わらず、ついには殺人まで犯してしまう。

この息子の気持ち、なんとなく分からなくはないんだけど、でも、うまく説明出来ないんだよなぁ。
とりあえず、産むかどうかを決めるのは母親であって、何となく避妊せずにセックスした結果望みもせずに生まれてきたのが自分だとすれば、やっぱり母親に対しては嫌悪感を持ってしまうと思う。

こういう、考えさせてくれる映画大好きだ。

遊星からの物体X ファーストコンタクト

1982年に制作された映画、『遊星からの物体X』の前日談だ。
『遊星からの物体X』の冒頭に犬を追いかけるシーンがある。なぜその光景に至ったのかまでが描かれている。

人に擬態出来る未知の物体が現れた。というお話。目の前にいる人間が、もしかしたら怪物なのかもしれないという極限状態の中で過ごす2日間。
人を信頼できないっていう状況が描かれてて、そういう空気感が大好きな俺としては非常に面白かった。物足りないっていう人もいるのかもしれないし、オリジナルの作品を観てないから、そこで描かれたものと比べてどうなのかっていう部分に関しては何も言えない。

南極、行ってみたくなった。

2012年8月12日日曜日

桐島、部活やめるってよ

塾の生徒に小説を勧めたら、どうして「やめたってよ」じゃなくて「やめるってよ」なの? ってツッコミを受けた。どうでも良いって思ってたんだけど、割と本質を突いた質問なのかもしれないって映画を観て思った。

バイトを早く切り上げることが出来てありがたいことに帰省後になるかなぁと思ってた『桐島、部活やめるってよ』を観ることが出来た。急遽観ることになったから手元に前売り券がなかったけど、まぁいいやって思って正規の値段払って観た。

観て正解だった。素晴らしい。
実際のところ、出演者に興味があって観ようと思った映画だった。あらかじめ原作を読んで、それなりにメッセージが込められていて良い話だとは思ってたけど、その小説の書き方からして映画はあんまり面白くないんじゃないだろうかって思ってた。
全然そんなことはなかった。
構成は全然違った感じになってるけど、核は全然ぶれてなくて、そこへの持っていきかたは、たぶん小説より映画の方が良いかもしれない。

物語は桐島が部活をやめるっていう話が学校で広まったところから始まる。
彼女、友達、地味な映画部の前田、様々な視点から、桐島のうわさが広まった金曜日の出来事が描かれる。予告で「繰り返される金曜日」なんて出てたから、? っていう感じだったけど、実際のところ、本当に金曜日が繰り返されてた。4回、金曜日が繰り返された。

「相手は吹奏楽部、同じ文化部だから大丈夫だろ」
「あの人たちの前で本当のこと言ってもね」

学校っていうシステムの中にあるヒエラルキーが残酷なまでに、でも活き活きと描き出されてた。
輪の中に溶け込んでおくために本音を隠す。面と向かっては言わなくても、運動部にコンプレックスを感じてる文化部。

「結局、出来るやつは何でも出来るし、出来ないやつは何も出来ないっていうだけの話だろ」

そう口にしながらも、自分の将来に不安を感じ、打ち込むものがない自分に迷いを抱いてる何でも出来る菊池。

様々な人々の思いが交錯して、学校の屋上で衝突する。

「僕たちは、この世界で生きていかなくてはならないのだから」

前田の言葉は、誰でも心に感じ入るんじゃないだろうか。世界の広さは様々でも、それでも、人それぞれ生きる世界っていうのがある。どんなに小さな世界でも、高校生にとって、高校こそが世界のすべてなんだ。そこで生き残るために必死にならなきゃいけない。
俺も高校時代はそうだった。

そして、菊池と前田が対面する。ヒエラルキーの上にいる菊池と下にいる前田。小説でも描かれてる場面だけど、グッとくる。「格好良いね」っていう前田に対して、言葉に詰まる菊池。きっと、菊池にとっては、必死になれるものがある前田の方が格好良く映るんだろう。


主題歌が高橋優の『陽はまた昇る』。映画のラストでこの曲が掛かると、なんだかしみじみとした。


自分の人生、きちんと生きなきゃいけないなって思った。


2012年8月5日日曜日

アナザー




綾辻行人の小説、『アナザー』(クリック)が原作の映画だ。今日、8月4日の午前10時から初日の舞台挨拶付き上映がTOHOシネマズ六本木ヒルズであったから行ってきた。

ネタバレしない程度に映画の感想を書くと・・・

橋本愛は可愛かったし、加藤あいは可愛かったけれども、残念ながら映画の内容に関して言えば、期待はずれな部分が多かった。小説とアニメに触れた後だとなおさら・・・
もちろん、小説の密度、内容から考えて、2時間できちんと原作のすべてに触れることは難しいだろうっていうのは分かってた。良くも悪くも、少なからず内容を変えなければいけないだろうっていうのは観る前から予想出来てた。
でも、それでも、やっぱりあの内容はないんじゃないかと思わざるを得ない。
小説の中で、なくても良いんじゃないか? って思ってた内容が削除されてたりして、そのあたりは好感持てたりもするんだけど、ミステリーの要素が完全に削除されてたのはショックだった。メインはホラーだから、まぁ良いんだけど、最低限、死者があの人だっていうことを榊原が判断するために必要な伏線は残しておいて欲しかったなぁと思うんだよね。見崎が霊安室に行った理由も放置のままだし、色々な部分で説明不足が目立った。
「黄泉のたそがれの、うつろなる蒼き瞳の。」っていうお店、小説では地下があったのに、映画では2階になってたりしたのも残念だった。地下と2階だと、それだけで雰囲気が違い過ぎる。
そして何よりも、見崎鳴だ。活発過ぎる。もっとおとなしい、暗めのイメージで描いてほしかったなぁと思う。

ツッコミばかりだけど、とりあえず映画として面白かったことは否定しない。筋も通ってるし、映画ならではの趣向も凝らされてて面白かった。
これだけ酷評しといてアレだけど、お勧めです。1度は観る価値あり。ただ、原作なりアニメなりで正確なあらすじを把握してからにした方が良い。たぶん映画観ただけだと意味分からない描写がたくさんあって駄作だとしか感じられないと思う。


さてさて、舞台挨拶のお話。
監督、山崎賢人、橋本愛、加藤あい、袴田吉彦の5人が登壇した。監督以外は全員浴衣だった。
橋本愛の赤い浴衣は似合ってて素敵だった。橋本愛は『告白』からのファンで初めて生で見て、その話を聴いたけど、癒される感じで良かった。監督や加藤あいとの掛け合いも楽しかった。「死ぬ気で逃げました」っていう橋本愛の発言に、「死ぬ気で逃げちゃだめだよね」っていう監督のツッコミにキョトンとしてたのは、思わず可愛いなぁって思った。今後も『桐島、部活やめるってよ』や『ツナグ』など上映作品が控えてる。楽しみだ。
ほかの人々も、俺が意識してるせいなんだろうけど、役者としてのオーラ、威圧感みたいなものを感じて凄かった。ただの演じてる人なのに特別扱いしてしまう自分の意識をどうにかしたいと常々思ってるんだけど、この、自分が演じる側に立てないのにっていう嫉妬からくる意識は、どうしようもないんだろうと思う。